なんかボヤキみたいなのが続く…
外科系医師であるが、病院で患者さんを診ること以外にも、教育や研究に携わっている。出張に行くこともしばしばだ。患者さんのことを発表することも多いが、研究のために研究費を獲得していれば、出張で成果を発表したり、情報収集したりと大忙し。
今回は、こどもの出張帯同旅費について。
昨今は、ダイバーシティだの個人の意思の尊重、などきれいな?ことばのため、昔とは違ってだいぶお役所さんも理解のある態度を示している。
学会でこどもを連れて行ったとしよう。こどもを一緒に学会会場を連れまわす、ということも考えられるが、そのような理解は日本の学会において現在ゼロに等しい。参加する学会に託児室の用意があれば、託児室を利用することが通常である。託児室の用意のない学会もあるが、そんな余裕のない学会は現代において存在価値はないのかもしれない。それはさておき、託児室にこどもを預けた場合、学会の配慮により託児費が無料な学会もあるが、託児費が有料なことも多い。
※託児費は個人的には有料でいいと思うし、学会が一部負担する場合もあり、それは好きなようにしてもらったらよい。
で、その託児費は、研究費(いろんな研究費があるが科研費、とする)を獲得していれば、研究費から捻出しても良い、ということになっている。
【Q4477】 補助事業に関連した研究集会を主催する場合、会場内への託児施設設置に係る費用を科研費の直接経費で支出することはできますか。
【A】 当該研究課題の遂行上必要である場合には支出することができます。
【Q44771】 日常的に必要な託児料以外で、学会・研究集会に参加するなど臨時的に必要となる託児料を科研費の直接経費で支出することはできますか。
【A】 「託児費用」も研究課題の研究遂行上必要であって臨時的に必要な費用であるなら支出対象から除外されるものではありません(平日、夜間、休日等を問いません。)。
ただし、日常的に必要となる託児料については、社会通念上、給与や児童手当等により支弁することが適当と考えられます。託児費用への支出に当たっては、そうした点に留意の上、研究遂行上の必要性について、補助事業者として説明責任を果たせるよう、適切に対応することが求められます。
ちゃんと科研費のQ&Aに掲載されている。
しかし、である。学会等が家の近くで開催されるとは限らない。家の近くなら保育園が休園の日を除き、いつもの保育園に預けるだろう。託児するぐらいなので、遠方が想定される。そう、学会の託児室まで連れていったり、翌日も学会が開催されるのであれば、こどもも当然宿泊しなければならないのである。そうなると、、、託児費は研究費から捻出することはできるが、その帯同した子の交通費や宿泊費は捻出できるのか?という疑問が湧いてくる。託児費を研究費から捻出できるのだから、それ以外要求するなんてあつかましい、あこぎだ、と思う人もいるだろう。たしかにそうかもしれない。でも、託児するならそこまで連れて行かないとだめ、という理論は、正しいと思う。ただ、現状、研究費から捻出するのはだめなことになっている。
研究費は、直接経費と間接経費に分かれている。500万円の研究費を獲得した、としよう。そうなると500万円研究費に使えるわけはなくて、獲得者は350万円を使うことができ、150万円は間接経費として、獲得した所属機関に収められる。研究費管理のための経費ということなのだろう。
2024年2月28日に行われた科研費に関する説明会の資料によると、子の出張帯同旅費は科研費の直接経費では出せないが、間接経費では出せるというのが見解のよう。
このからくりは、私には到底理解できないが、とりあえず、
託児費→直接経費
帯同旅費→間接経費
ということ。
間接経費は、各それぞれの研究機関がどう使うか取り決める、任せられていることであり、規程がなければ、当然支出されない。交通費、宿泊費、年齢、年度の上限額、対象の学会等、決めなければいけない事項は多い。日本で規程のある、研究機関はまだまだ少ないが、すでに2018年には立命館大学が、間接経費でも捻出を行っているようである。大学と言えば東京大学だが、当然東京大学はOK、である。さすが。他には、九州大学、東北大学や山口大学等、Googleで検索すれば、ちょこちょこ出てくる。間接経費ではなく、独自の基金みたいなのを作って運営している大学もあるようだ。
ということで、私の所属する機関では規程はなく子の出張帯同旅費は捻出できない。ダイバーシティ推進センターなるものが所属機関に存在するので、この4月より働きかけている。さて、どうなっていくことか。進展があれば、またここに書こう。
—kokokara 追記—
—kokomade 追記—
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